1.ワゴンRは便利なんだけど・・・
私の最初の車は大学1年の時に母親からお下がりが回ってきたマツダ・AZ-ワゴン。スズキ・ワゴンRのOEM車だ。
実はこの時、ネットから仕入れた拙い車情報でサンバーが購入候補に上がっていたのだが、偶然実家の車の買い替えタイミングに運良く?AZ-ワゴンが手に入ったため、サンバー購入話は立ち消えになった。
2WD、4AT、NAのよくある田舎の母ちゃんのセカンドカーであった。とりあえず貧乏学生のお供には十分なもので無理やり車中泊しながら北は青森、南は九州まで旅をしたり、デートカーになったり、みんなのタクシーになったり、サークルの荷物輸送車になったりと大活躍であった。
しかし、普通に使う分には大変快適なんだけど使用条件と車のスペックが合わない部分も増えてきていた。
・2WD
新潟の冬は4WDが欲しい。ちょっとした河原とか林道も走りたい。
・最低地上高が低い
低いというか一般的な数字150mmくらいなんだけど雪道、オフロードでもう一声欲しい。
・4AT
オートマはつまらない。楽だけど。
・車内が狭い
人が4人乗る分には十分快適だけど、車中泊には厳しい。
大きな楽器をやっていたので、楽器プラス機材になると不足が・・・。
大学院に進学した年、フロントガラスが割れたり、エアコンが壊れたりが重なり、車検を機に車を買い替えることにした。
相変わらず貧乏学生なので4WD、MTの軽箱バンが候補に挙がった。
2.そうだサンバーにしよう
AZ-ワゴン時代の不満から4WD、MTの箱バンを探した。
そして、かつて購入候補に挙がっていたサンバーにした。
基本的に私はオタクなのでRRの4気筒エンジンとか4独とか唯一のフルキャブとかラダーフレーム構造とかある種のマニアック変態仕様に大変心を惹かれたのだ。
そして、乗り出し30万円。4WD、MTのサンバーがやってきた。
スーパーチャージャー付きに乗りたかったが、予算的に無理だった。
しかも、VB。要は一番安いベンチシートグレード。
オーディオねぇ。ABSねぇ。スケスケガラス。窓はグルグルハンドル。農家あがり小キズ付きというこれからいじり放題仕様。
余談だが、この世代のサンバーは5MTまたは3ATで3ATのギア比はMT車4速くらいまでしかなく更に高速走行が苦手だ。はなからサンバーを買うなら絶対MTと決めていた。
まず、買ってすぐにフォレストオートのリフトアップスプリングとMTタイヤに変更した。
オーディオ付けて、リアスピーカー付けて、追加メーター付けて、窓フィルム貼って、フォグランプとデイライト付けて、4WDスイッチ移植して、シフトレバー交換して、ルーフキャリア積んで、リアラダー付けて、全塗装して、ステッカー貼ってとやりたい放題。
車中泊、荷物輸送にフル回転の大活躍でした。
3.走行性能レビュー
一般道を普通に走る分には不足無いですが、流石にバイパスとか高速の上り坂はお察しください。
エアコンつけると全然走らないです。合流時とかは「ターボON」とかいいいながらエアコン切ります。
ギア比がとんでもなくて100km/hで5000r.p.m越えます。
ただ4気筒なので、3気筒エンジンの他の軽自動車に比べれば高回転域でもスムーズで3気筒の5000r.p.m.よりは遥かに快適です。
また、低回転でも嫌な振動が出ないので運転しやすいです。
直進性能はかなり厳しいです。特に、高速道路上ではそよ風でも持って行かれます。
そんなこんなで高速道路で100km/h巡航はちょっとコンディションを選びます。
駐車場や細い路地など小回り性能は最高です。
しかし、背が高いし、純正145R12タイヤの性能もお察しレベルなのでコーナリング性能も厳しめ。 のんびり走りましょう。
高めの最低地上高とPT4WDの組み合わせはオフロードや雪道、林道でも困ったことはありません。
ただ、フロントオーバーハングが長いのでたまに段差でぶつけます。ナンバーがひん曲がります。一般的な道路では問題ないけど、林道とか行くならちょっと注意。
こんな悪さもしたもんだ。ナンバーひん曲がりました。
4.乗り心地レビュー
キャブオーバーは運転しやすさ最高です。思ったより運転席からお尻までの距離があるのでバック時は慣れるまで要注意。
軽貨物箱なんでサスは硬いですが、そこそこいい方だと思います。
ドライバーとしては不満ありませんでした。
しかし、妻からはワゴンRの方が良かったと文句が・・・。
後部のベンチシートは割りとふかふか、ディアスの奴に変えたら意外とペラペラなのかヘタってるのかいまいちでした。
いずれにせよホールド感がゼロなので車高も相まってカーブでは横に飛んできそうになります。
静粛性は最安グレードのせいなのかエンジン音がこもってうるさいです。
リアエンジンで距離があるので静かなんて説がありますが箱に関してはけっこううるさいです。
でも、エンジン上に防音材敷きこんだらなかなか静かになりました。
5.積載性レビュー
後部座席を畳むとベンチシートでもディアスシートでもまっ平らになります。車中泊にも◎。
180cm位あるので平均身長の男性なら2人並んで寝られます。
室内の高さも素晴らしい。
ただ、リアエンジンの都合か床面は他の車に比べると若干高め。
純正ルーフキャリアも付けたので積むのに困ったことはほとんどありませんでした。
6.燃費レビュー
高速乗っても一般道走っても13km/L前後です。まぁ、こんなもん?
7.故障経験レビュー
15年18万キロくらいまで走って、走行不能の故障は燃料ポンプの故障が一回のみ。
このときは新潟スタートで山口県で走行不能になって焦りましたが、なんとかディーラーに一日入院で直してもらいました。
定番のタペットカバーからのオイル漏れは何度か発生しましたが、パッキン交換は自力でやるもの簡単。
シャフトブーツとかの消耗品は順当に駄目になりました。
リアエンジンなのでエンジン廻りの整備性は良かったです。
助手席下のウォッシャーやバッテリーはアクセスがめんどくさいです。
あとは、リアバンパーぶつけると鉄なのでベッコリへこみます。ネットで社外新品の黒いやつが買えます。
詳細は後述するが、フレームの錆の持病あり。雪国の車両は要確認。
内張りもないシンプル商用車なのでいじり放題で楽しかったです。
8.サンバーとの別れ
就職後も通勤に趣味にと大活躍だった。
新潟県内高速通勤という高速走行の苦手なサンバーにとって過酷な使用方法でエンジンや走行部品がやれ気味で購入時より最高速度が若干低くなっていた気がしたが、それでも元気に走っていた。
サンバーとの別れの原因はこれも持病と言われるフレームの錆だった。
サンバーのエンジン吸気は助手席あたりの足元のフレームから入り、角パイプフレームの中を通ってリアエンジンに辿り着く。
すなわち、雪国で高速道路なんかを走ると塩カルなどの成分を無限にフレームの内部に吸い込んでしまう。当然、吸い込みにくいような形状にはなっているが長年雪国で走ったサンバーはフレームと内側と外側両方から塩カルを浴びで吸気の入り口の足元のフレームがやられやすい。
購入時より若干錆がありシャシーブラック吹いたりしていたが、ついにフレームがボロボロになってしまい、なんやかんやで手放すことにした。
就職後、車中泊の頻度も大きく減っていたし、サンバーでの林道遊びが楽しかったので後釜はジムニーにした。しかし、その後・・・。これはまた別のお話。
9.総評
当然、再びサンバーの購入も検討したが、2012年にダイハツのOEMに切り替わって以降、それ以前のサンバーの価格高騰が著しい。
特にディアスワゴンや、ディアスグレードで4WD、MT、スーパーチャージャーなどというと10年落ちのくせに新車と変わらない値段だったりする。
それだけ、マニア心をくすぐる車両でもあるが、手を出しにくくなってしまったのは事実だ。
車中泊したり、酷道探検したりと大人の秘密基地感覚で使っていて、最高のおもちゃ。
性能を積載性能と小回りに全振りしたと思っていれば大体間違いない。
なのであまり尖った性能振り分けしていない車が良ければワゴンRとか乗っている方が幸せかもしれません。
一般道をのんびりドライブしたり、高速道路でもトラックの後ろをのんびり走る分にはとりあえず不足なし。
一度ハマると唯一無二の相棒になる。サンバーはそんな車だと思いました。
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